いよいよ今日からフランス語の学校に通うんだわ。こっちに来てからというものアルディ家から一歩も出る事なく生活していた私は少し退屈していたのも事実なのよね。
あっ、でもフランス語を勉強したいって言うのは本当よっ!本当にっ!
「マリナ様、そろそろお時間ですが…」
アルディで生活をするようになって私の身の回りの世話を専属でしてくれるクロエが部屋の外から声を掛けてきた。
もちろんよっ!今日からパリの街を好きに歩けるんだものっ!
私は急いでドアを開けるとクロエの案内で長い廊下を通り、エレベーターで下まで降りると玄関ホールについた。
お屋敷の中は広すぎて未だに覚えられないのよね。みんな良く迷子にならないわよねっ?
玄関を出ると車が用意されていた。
そうね、私はここから駅までの道を知らないものね。メトロの乗り方や駅から学校までの道のりはジルに何度も何度も教えてもらったからバッチリ!
帰りは万が一迷ってもアルディ本邸は大きいから誰かに聞けば教えてもらえるだろうしね。
運転手のマティスは後部座席の前で私が来るのを待っていてドアを開けてくれた。私はお礼を言って乗り込み、いよいよ出発。
そうして敷地内をしばらく走りアルディ家の立派な門を出た。
私はパリの街の景色を堪能していた。しばらく車は走ったんだけど、駅ってそんなに遠かったっけ?私は気になってマティスに聞くと、
「シャルル様より、学校前まで送るようにと言われております。帰りも終業時間に学校前で待つようにと…。」
え……?
それじゃ、私の放課後の楽しみは??
学校帰りのカフェは?ケーキは?
友達とのおしゃべりは?
私の楽しみどうしてくれるの??
しばらく考えていていい作戦を思い付いたわっっ!
「マティス、今日の帰りは寄りたい所があるの。メトロで帰るから迎えはいらないわ。」
わっはっは。これで完璧だわ。
ディナーまでに帰れば問題なしだわ?
せっかくパリにいるんだからカフェに行かないなんてもったいないわっ!
しかし、すぐに自分の甘さに気付かされた……。
「何をマリナ様に言われても聞くな。とシャルル様より言われております。終業の14時には此方へお迎えに参ります。」
うぅぅ…。シャルルに読まれてた…。
私はトボトボと登校することになった。
あぁ…帰ったら直接シャルルと交渉だわ。
でも私に勝ち目なんてあるのーー?