きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

届かぬ想い14

オレはタイルの床を蹴るように階段を駆け上がった。
病棟に続く廊下は見舞い客も多く、辺りを見渡したがそれらしき人物を見つけることはできなかった。人の流れに溶け込んだか。

「くそっ!」

オレをつけ狙っていたのか、パパラッチの類か、それとももっと別の何かか。

「手を怪我して運ばれて来ただけですよね?」
「申し訳ないのですが患者さんに関することはお話出来かねます」

ナースステーションに差し掛かった時にそんなやりとりが耳に飛び込んできた。
見ればマリナがエレベーターに引き込まれた時に一緒にいた女だった。
手には見舞い用なのか小さな花束を持っている。

「そうですか」

そう言うとその女はその場から立ち去った。知り合いの見舞いに来たわりにはあっさりしているように感じた。
どんな様子なのかいつになったら面会が可能なのか聞きもせずに帰っていったその女の後ろ姿を見ながらオレは対応していた看護師に声をかけた。

「君、今の女性は?」

「池田さんのお知り合いだそうです。ただ……」

看護師の話ではあの女はオレがマリナと知り合いなのか、二人がどんな様子なのか聞いていったらしい。
何のためにだ?あの女はただの知人ではないのか?
オレはすぐに女の後を追った。まだ遠くには行っていないはずだ。
エレベーターで一階まで降り、正面入口
を目指した。最寄り駅は歩くには距離がありすぎる。きっとバスかタクシーに乗るはずだ。入口の自動ドアを通り抜けたところでバス待ちの列に並ぶ女の姿を見つけて声をかけた。同じように列に並ぶ者たちも一斉にオレの方へ振り返り、すぐに目を逸らした。
無理もない。突然、外国人が話しかけてくればほとんどの日本人はこうして知らぬ顔をする。そんな中、女だけはオレをじっと見つめたままだった。
やはりオレが誰なのかは知っているのだろう。

「有川さん、君に聞きたいことがあるんだが少し時間を頂けるますか?」

彼女はオレの問いかけに「え?」と驚きつつもこくんと頷いてバス待ちの列を離れた。

「なぜ私の名前を知っているんですか?」

オレが彼女の首から下げている名札を指差すと「あっ」と言って恥ずかしそうにそれを外し紐をくるくると巻きつけると慌ててバックにしまった。

「あの、それで私に話ってなんですか?」

彼女からは怪しげな様子は見られない。どちらかといえばお粗末な感じだが、何かが引っかかる。間接的な質問から聞き出すという手もあるが彼女のどこか抜けたような感じは偽りなのか?
こう言った場合は直接的な質問を投げかけ出方を見る方が良さそうだ。

「オレとマリナの何を知りたいんだ?」

すると彼女は息を飲み、うつむいた。表情は見えないが何かを話そうとしているのは伝わってくる。オレは彼女の言葉をじっと待った。しばらくすると彼女は言葉を選びながら話し始めた。




つづく

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みなさん、こんにちは!
お待たせしました。一週間以内に更新することができて良かったです。
まもなくカウンターが77777に届きそうです。お気に入り登録者数も300名を越え、たくさんの方に遊びに来てもらえてとっても嬉しいです😊
今話はもうしばらく続きそうな感じです。当初の予定よりも大幅に伸びていますがどうぞ最後までお付き合い下さいませ✨25話前後になるかな~。