きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

夢の果てに 19

みなさん、こんばんわ!
今回は後半に少しだけ大人の表現があります。直接的な表現はありませんが、読み進める際はご注意下さい。


なお、20話は完全に大人の表現になっているので限定記事になります。同時進行しているライブドアブログにてパスワード申請の上でご覧いただけます。http://blog.livedoor.jp/kkikirara_0419/

詳しくはライブドアブログトップページの説明をお読みください。

飛ばして読まれる方は21話の更新までお待ち下さい。
話の内容は飛ばして頂いても大丈夫なようにしてあります。
では、どうぞ。



「暗くするよ」 


真っ暗で何も見えないけど、隣にシャルルの温もりがあった。
あたし達は夕食の後、シャワーを終えて、寝室に来ていた。
ついにシャルルと……。
ベットを軋ませてシャルルがあたしの方を向いたのがわかった。


「こっちにおいで」


シャルルはあたしを引き寄せ、その胸の中に包み込んだ。
始まる?!
あたしは身を固くした。


「さっきの話だけど、パリで一緒に暮らさないか?」


シャツ越しでも伝わってくる逞しい胸。
急に緊張してきた。


「マリナ?」


「あ、ごめん。パリに?」


シャルルの胸筋に完全に気を取られていたわ。


「そう。オレは明日には帰らなきゃいけない。だから明日、一緒に来ないか?」


「でもまだ引越しの荷物も片付けてないし、仕事も探さなきゃいけないし」


「仕事を探す必要はないだろ?」


「だってここの家賃は高そうだし、もっと安い所に引っ越そうかと思ってるのよね」


その瞬間、シャルルがあたしのおでこに額をコツンとあてた。


「オレの話、聞いてなかっただろ?」


シャルルのアップにドキドキが加速していく。暗闇にも目が慣れてきてシャルルの顔がはっきりと見える。


「聞いてた、わよ?」


おずおずと答えると、


「聞いてたなら家賃の話にはならないはずだ。何を考えてた?」


「それは……」


「それは?」


先を促すようにシャルルはあたしの言葉を繰り返した。これは逃げ切れないと観念した。


「シャルルって逞しいんだなって……考えてたら話が入って来なかったのよ。しょうがないでしょ、こういうの初めてなんだからそりゃ、色々とドキドキしちゃうのよ」


もう最後はやけっぱちだった。
なんでこんなことあたし、話してるんだろう。恥ずかしくて穴があったら入りたいってまさにそれよ。
するとシャルルはあたしのおでこにキスをすると、バサッと隣に寝転んだ。
ん?
戻って行った?
あたしはてっきり始まるのかと思っていたんだけど、何かいけない事でも言っちゃったかしら?
不安になってシャルルを見た。


「あのさ、あたし何か地雷踏んじゃった?」


シャルルはふうっと息を吐くと、曲げた腕を額にあてた。


「踏んだね。しかも思い切り」


その割にはシャルルの声が少し明るい。


「え、え?何が?どれが?」


訳がわからず焦るあたしの手にシャルルの手がそっと重なる。


「幸せにするよ。オレが必ず」


シャルルの長い指があたしの指を絡め取った。しっかりと繋がれた手から優しさが伝わってくる。
繋がれた手と反対の手はあたしの髪を愛おしそうに撫でる。
シャルルの深い愛を感じて胸が熱くなった。


「シャルル、あたし……」


シャルルと繋がりたい、一つになりたい。
愛されたい。あたしは心からそう思い、それを望んだ。
繋いだ手に力をこめた。
それが伝わったのか、髪を撫でていたシャルルの手があたしの顎を摘み上げ、上向かせた。
視線が絡み合い、求め合うように唇が重なった。だけどシャルルは触れるだけのキスをすると、あたしの髪をひと撫でして言った。


「おやすみ、マリナ。明日は早くに出るよ」


午前の便で帰っちゃうんだ。
それでえっと、寝ちゃうの?
この流れは、って思ったんだけどするわけじゃないのね。
またしばらく会えないのかな。


「あ、うん……おやすみ」


でもそうよね。
再会したばかりだし、すぐにはそういうことにはならないわよね。
シャルルとこうして手を繋いで眠るだけでも十分だわ。こんなに近くにシャルルを感じられるなんて今だってまだ信じられないもの。
きっとまたすぐに会える。
シャルルが日本に来れないなら、あたしが行けばいいんだもん。
そうだ、航空券を送ってさえもらえばいつだって行けるし、シャルルのことだからきっと快く出してくれるはずだわ。
あれこれと考えていると、隣でシャルルがわずかに動いた。
もう寝ちゃったのかな?
でも繋いだ手はそのままだった。
ちゃんとシャルルはここにいる。それを確かめるようにあたしはシャルルの手をぎゅっと握った。


「眠れない?」


シャルルは少し掠れた声だった。
まだ起きてたんだ。


「うん、ちょっとね」


シャルルと過ごせる時間が惜しくて何だかすぐには眠れなかった。


「あまり煽らないでくれ。我慢できなくなる」


えっ?
そういうとシャルルはあたしをその胸に抱き寄せ、足を絡ませた。
その瞬間、あたしはハッとした。
シャルルのが、あたってる。


「オレだってマリナが隣にいて眠れるわけがない。でもさっき地雷を踏まれたからね」


「何なの?その地雷って」


「君の初めてはオレの部屋でと決めたんだ。大事にしたいんだ。何の思い出もないこの場では我慢しようとね。だから続きは明日にしよう」


「え、明日っ?」


「そう。明日、君も一緒にパリに行くんだ。無警戒な君を一人で日本に置いておくなんてオレにはできない。パリで一緒に暮らそう」


「でも、待って。荷物とか仕事とか、それにここの家賃とかどうするのよ?」


シャルルは何でもないといった顔をした。


「向こうで暮らすのに必要な物以外は置いておけばいい。仕事は肖像権の問題を起こした君はおそらく日本でマンガを描くことはもうできないだろう。だったら向こうで描けばいい。オレの知り合いに出版社の人間が何人かいる。このマンションは買った物だからいつでも好きな時に帰ってくればいいさ。ただし、オレが君の帰国を認めるかは別の話だけどね。さて、明日は早いよ。もう寝よう。じゃなきゃオレが自分で決めたことを守れそうにもない。どうしても、と言うなら期待に応える準備はいつでも」


そういうとシャルルは自身の主張してる部分に視線を向け、不敵な笑みを浮かべた。
やだ、準備だなんて……あたしは慌ててシャルルから離れた。


「何だか急に眠くなってきたわ」


「そうか。なら今夜はゆっくりおやすみ」


今夜はってとこだけ強調して言わないで。
でも本当にあたし、パリで暮らすの?!


つづく