きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛は記憶の中へ 28


「万一の時のために救命チームの手配だ!」

オレはすぐ後ろを追ってきていたフレデリックに叫んだ。
通常のゲストルームはどの部屋も鍵解錠だが、いくつかの限られた部屋は別の認証システムを採用している。
今回マリナのために用意した部屋もそう、
手指の静脈認証を使用している。
そのためオレと部屋の使用者以外は開けることはできない。

ドア横にある認証パネルに手をあてる。認証までのわずかな時間さえもどかしく感じる。
解錠を知らせる電子音が鳴ると同時に押し入るように中へと踏み込んだ。
ベットまで一直線に見渡せてしまえる小さな部屋にマリナの姿はなかった。

「いない……?!」

続いて入ってきたフレデリックも同じ反応をみせた。
いや、部屋ならもう一つある。
シャワーブースだ!
風呂嫌いのマリナがシャワーを使うとは考えにくいが、もしシャワー以外の目的があるとすれば……?!
水音も聞こえてこない扉を蹴破った。
だが、そこにもマリナの姿はなかった。
無意識に大きく息を吐いていた。自分が極度に緊張していたのだと気づく。
マリナに限ってそんな事はないとは思うが、この場で救命措置を取るような事態にならずによかったと安堵したのはたしかだ。
過度なストレスによる精神不安から時に人は思いもよらぬ行動を起こすことがある。
盗難事件、大使館での騒ぎとストレス要因はあった。
それに一番は美紗のことか。
マリナ、いったいどこへ行ったんだ。
何か手がかりになるものは?

「屋敷から出た可能性もある。すぐに警備に調べさせろ」

「はい」

フレデリックはヘッドセットを装着している耳に手を当て、次々と警備に指示を与え始めた。
オレはあらためて部屋の中を歩いて回った。だが、手がかりになるような物は見当たらない。
そもそも盗難にあったせいで少なかったマリナの私物自体が見当たらない。
わずかな荷物だけ持って出て行ったのか。だが、正面玄関から出て行ったのならカメラが捉えてるはずだ。
もしそうならすぐにでも歩いて行った方面を捜索させなければならない。
これから気温は下がっていく一方だ。
マリナにその気がないとしても命にかかわる。
どうする?!
パリ市警察長に連絡をとるか。いや、まだ屋敷から出たと決まったわけではない。
落ち着け……。
と、その時!部屋に設置されているスマホが充電器から落ちそうになっているのを見つけた。
瞬間的にカークの顔が浮かんだ。
オレとカーク以外にパリに知り合いなどいないはずだ。
そうでなければ大使館であんな騒ぎにはならなかっただろう。

すぐさまスマホの履歴を調べると、そこには《chambre M》からの着信が一件だけ残されていた。

美紗が内線電話を使ったのかっ!
やはり美紗はオレより先にマリナに接触していたんだ。
大使館内ですでに面識があれば警戒されることなくマリナを呼び出すことも可能だ。
セシルは偶然にもその場を目撃したというわけか。

「私だ。では出て行った形跡はないんだな?!他に何かわかったか?」

聞こえはしないがフレデリックが警備と話しているのはわかった。
オレの視線に応えるようにフレデリックは素早く首を振った。
他に有力な情報はなし、か。
屋敷から出ていないとなれば!

「マリナは《chambre M》にいるはずだ。それも自らの意思では部屋から出られない状況にある可能性が高い」

「まさか!!」

フレデリックは信じられないといった顔をした。
監禁、もしくは眠らされている可能性もあるが最悪の場合……!

「想定外にも対応できるよう救命チームには全集中させておけ!」

何があってもオレが救ってみせる。

 

つづく


*****

みなさん、こんばんは!

最後に「あっ!」となってくれた方はいたかな?
シャルルにも言わせちゃいました🤗
あの台詞(*'▽'*)〜全集中🔥
もう一度観に行きたいと思いつつ、なかなか忙しくて行けず😔

それではみなさん、次は早くね!続きを待ってるよ!など、拍手👏で応援していただけると、とても励みになります。
どうぞよろしくお願いします💓