きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛は記憶の中へ 29


あの部屋も認証システムを採用してはいるが、それは外からの話で中からは普通に開けられる。
十中八九、美紗の目的は自分の立場を揺るがしかねないマリナの排除だ。
なぜそこまでの考えに至ったのかは本人にしかわからないのだが。
マリナがいつ部屋を出てしまうかもわからないそんな状況で美紗がのうのうと食堂に来たとは思えない。
マリナがあの部屋から絶対に出ないという確信があったに違いない。
そうでなければ美紗は食堂には現れなかったはずだ。

どんなに追いかけようともマリナはオレの手の届かぬ場所へ行ってしまうのではないかという不安に押し潰されそうになる。
もしそんなことになったら……いや、どんな状況でも必ず取り戻してみせる。
生命再生化は理論上は可能だが、それは完全に準備が整った状態でのことだ。
それでもオレは考えうるあらゆるケースを脳内シュミレートし始めた。
オレに不可能はない。
たとえどんなに困難な状態にあっても決して彼女を失うようなことはオレ自身が認めない。

階段を駆け上ると、《chambre M》のプレートがオレを煽っているかのようにギラリと反射した。
オレは開錠に必要な電子スティックをポケットから取り出し液晶パネルにかざした。すぐにピピッと開錠を知らせる電子音が鳴った。
ドアを開け、オレ達は示し合わせたように手前の部屋へフレデリックが飛び込み、オレは奥の部屋へと駆け出した。
最奥のこの部屋は寝室だ。
オレは息を飲み、ドアを開けた。
あの日のまま、まるで時が止まったかのように今日まで保存させてきた。

「マリナ……どこだっ!?」

だが、マリナの姿はどこにもなかった。
オレの声は空を切るように虚しく静寂の中へ消えていくばかりだ。フレデリックの方も状況はこちらと変わらないようだ。
想像したくはないが、最悪の場合を想定し、クローゼット、キャビネット、冷蔵庫に至るまで全て見て回った。
それでもマリナはどこにもいない。
一人の人間を隠すとなればかなりのスペースは必要だ。
その時、普段はきっちりと締められているカーテンにわずかな隙間を見つけた。

「っっ!?」

オレは駆け寄り、両手でカーテンを引っ掴み、一気にそれを開け放った。
カーテンランナーが軋みをあげ、まるで悲鳴を上げたかのようだ。

「シャルル様っっ!?」

何事かと、フレデリックが慌てて駆けつけてきた。
だがオレは目の前の光景に動けずにいた。
フレデリックを振り返る余裕もないまま、目の前の扉を開け放った。

「マリナ、一体どこへ行ってしまったんだ……」

 


つづく


****

みなさん、こんばんは♪

28話のあとがきで拍手👏で応援して下さ〜い♪とお願いをしたのですが、その…予想以上にたくさんの拍手をいただきまして、本当にありがとうございます😊
お昼すぎに確認したところ400もの👏を頂いてました✨ 嬉しすぎて毎回おねだりしようかと思ったほど😅w

でもふと思ったんです。『次は早くね!』の拍手かも?って😂💦
激励的な意味合いが強いのだとしたら…そりゃ急がにゃ〜💨いけないと!
そして、少しでもお応えしたいと。今回はいつもより早めに更新することができました。
もしかして猿も煽てりゃ…?笑
はい、私って単純なんです🤗
そしてお話の方は複雑に…あはは。

果たして二人は再会できるのかっ?!
それでは皆さま、また次回お会いしましょう✨