きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

心をこめて17

昨夜のシャルルからのメッセージカードの事が気になって、なかなか寝付けなかった。
おかげで今朝は寝不足で体が重い。
ベットでグズグズといつまでもしていると痺れを切らしたジルが起こしに来た。


「マリナさん、おはようございます。
昨夜は私が仕事を済ませ帰宅した後にシャルルから、その…カードが届いたそうで庇って差し上げられなくてごめんなさい。今朝シャルルには私から上手く説明しておきました。」

私は胸を撫で下ろした。シャルルが明日帰ってきてお説教…だと思うと憂鬱だったのは確かだった。
隠し事があるのは不本意ではあるけど贈り物のためだったのよ。
その後、少しだけミシェルとクリスタルを飲みながら、少しだけからかわれただけだわ。

でもシャルルがその事で傷ついたり、心を痛めたりするのは嫌だった。

「ジルありがとう。あんたが味方でいてくれると心強いわ。今夜帰えってきたら私からもシャルルに話してみるわね。」

そこで一旦言葉を切り、改めてジルに向けて言った。

「それから…今日でメイドの仕事も最後ね。歴代の当主の名前だけは覚えたわよ、ジル。」

私が含んだ笑みを浮かべると、ジルは挑戦的な青灰色の瞳をキラッと光らせると驚きの一言を告げた。

「当主名だけ…と言うか、名前のみ…覚えてらっしゃるのは聞いております。この件は本邸に帰ってから更に深く学んで頂くので問題ありません。

お花の方も引き続き学びましょう。今回の事でずいぶんとセンスを磨かれたのではないですか?」

ジルは、フランス国立園芸協会(SNHF)の認定試験(DAFAI)ダファを受けて貰うと言い出した。
フランス農水省が後援するSNHFが行う協会主催のフラワーアレンジメントの資格試験で3種類あるんだって。
上からトワイズイエム ドゥグレ。
次がドゥズィエム ドゥグレ。
最後にプルミエ ドゥグレ。

それぞれ年1回試験が行われるそうで1番下のレベルは3月に試験があるので頑張りましょう!とにっこりと微笑んで言う…。
あんなちょっと中庭の花を生けただけじゃ無理よっっ!!と抗議した私の言葉など聞こえてないかのようにジルはにっこりするばかりだった。

別邸と本邸の往復も、普段は動く事もほとんどなく、スケッチか食べてるだけの私にとっては影響も大きかった!何だか体がスッキリしたような、細っそりしたような…。

そして紅茶の知識ね。
茶葉の種類はもちろん入れ方も上達したのよ。今まで水を気にする事もなかった私も硬水と軟水がある事。紅茶には軟水が向いてる事。フランスの大部分は軟水であること。なんかも覚えたの。

「これでシャルルにも紅茶を出してあげられますね。私が出すよりもシャルルにはずっと休憩になりますわ。マリナさんと語り合う時間が出来ますしね。シャルルは休憩を取らなさ過ぎなんです。

それにマリナさんの飾った素敵な花を執務室や私室に飾るのも素敵でしょうね。きっとマリナさんに囲まれてるようだ。とシャルルは喜びますよ。」

次から次へと語られる事実に私は唖然とし、ジルの企みっぷりに脱帽するのみだった。ミシェルの為にメイドとして尽くしていたと思われた事が結果的には全部シャルルのためだったわけね。

この私に何かを覚えさせるのって根気がいると思うのよね。私自身もイヤになるぐらい覚えられない。
それが分かっていて実際に経験させて繰り返す事で体に覚えさせる事にしたんだわ。
うぅ…ジルにそんな風に思われていたのね。