きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛の証50000hit感謝創作8


クロードからの連絡を待ちながらオレはパリ・プラージュの会場から一番近いセーヌ沿いの救急病院に車を向かわせた。市内にはいくつか病院はあるがおそらくリッシュ病院だろう。
程なくしてクロードから連絡が入る。やはり思った通りだ。
十五分ほど走ると六階建ての建物が見えてきた。最上階部分だけが煉瓦色、それ以外の階は白で統一されている。とても歴史ある病院だ。


受付で先ほど運び込まれてきた子供の溺水事故に遭遇し、応急処置を施した事、子供の事で一つ気になる事がある旨と一緒に名刺を渡し、担当医師への面会を求めた。
突然の訪問はいささか無理があるかとは思ったがすぐに応接室へと案内された。やはりこういう時は国立病理研究所所長の肩書きは大いに役に立つ。


数分後、子供を担当したという男性医師が現れた。四十代半ばといったところか。
このアドルフ医師によるとバイタルも安定し病院へ搬送後は経過観察を行うためニ、三日入院させるとのことだ。それが妥当なところだろうな。
合わせてオレは母親の様子を尋ねた。


「母親は特に取り乱した様子もなく今は病室で付き添っています。しかし溺水現場にアルディ博士が居合わせていた事が何よりでしたね。AEDもずいぶんと周知されてきているとは言えあの子の場合は特別というか一般の方では躊躇してしまったでしょう。ところでアルディ博士がわざわざこちらまでいらしたのには何か理由がおありですか?」


アドルフ医師はちらっと時計に目をやり時間を気にしているようだった。この後診察予定でも入っているのだろう。
オレは手短に要件を伝えた。オレの話を聞いたアドルフ医師が院長に相談の上、迅速に対応をしたいとの言葉を聞き、オレは病院をあとにした。
思ってたよりも話の分かる男で良かった。しかし思ってた以上に時間がかからずに済んでしまったな。


「お屋敷に戻られますか?」


車に乗り込み、物思いに耽っていると運転手が尋ねてきた。


「頼む」


二年ぶりに再会した二人は今ごろ何を思い、過ごしているのだろうか。時計に目をやると午後の三時を過ぎていた。いつものマリナなら厨房におやつを用意させている頃だろう。
オレの作り出した二人だけの時間はオレ達の関係をどう変えてしまうのか。

和矢、君はなぜパリに来ていたんだ。
まさかマリナを……。
オレは再びマリナの手を離すことになるのか。
アルディへ向かう車の中でオレはそんな事ばかりを考えていた。







つづく

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みなさん、こんばんは!

KZ’DeepFile【桜坂は罪をかかえる】が発売され10月7日に我が家へ届きました
が、まだ読めていません。楽しみにしていたのに読む時間がない!正確に言うなら今は一気に読む時間がない(・_・;

そこで一度読書の時間をとってこれまで読みたくても読めなかった本達を読んでしまおうと思います。先ずはひとみ先生の世界観に浸ってこようと思います。


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創作の続きはしばらくの間、お待ち下さい。