きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

マリナBD創作(中編)

真夜中に目が覚めてしまった私は朝になっても調子が悪いままだった。
なかなか寝付けなかったけど起き出す時間でもないからベットの中であれこれと考え事をしていた。
朝になったらシャルルから電話が来るかな?スイスってたしか隣だったよね。時差はないのかな?シャルルはもう寝てしまってるかな…。
そんな事を考えているうちに再び眠りについた。

その日はベットから出る気分にならなくて夕方までゴロゴロして過ごしていた。
相変わらずシャルルからの電話はない。きっと忙しいんだろうな…。
出張が重なってシャルルと話もしていないから最近はシャルルの事ばかり考えてしまう。まるで片思いみたいだわ。この気分が晴れないのはもしかして恋煩い?
部屋まで運んでもらった昼食のサンドイッチも一口だけしか食べられなかった。昨日のケーキがお腹の中にしぶとく居座っていて食欲があまりなかった。

風にあたりたくなって中庭に出てベンチに座りながら手入れの行き届いた草木を眺めていた。夕暮れ間近だったので風がひんやりとしていて心地よかった。ここに来るまで誰ともすれ違うこともなかったからこの屋敷の中で1人きりのような気がしてくる。
この季節、日本は紅葉が綺麗なんだろうな…。紅葉を眺めてながら温泉に浸かるのも素敵ね。
私の住んでいたアパートの近くに大きな紅葉の木があって毎年、赤や黄色に葉を染めていく姿を何気無く見ていた。まだあの木はあるのかしら…。
もう4年も日本へは戻っていないんだったわ。

「たまには帰りたいな…」

後ろから誰かが私の肩にコートを羽織らせてくれた。

「マリナさん寒くなってきましたよ。お屋敷の中へ戻りませんか?」

ジルが心配して迎えに来てくれたのね。私を覗き込むようにして様子を伺っている。何かを思い付いたのかニコッと微笑んだ。

「シャルルのホットラインに掛けてみたらいかがですか?きっと夜の会合が始まるまで今なら時間が空いてると思いますよ。」

私はシャルルへの想いが見透かされているのが恥ずかしくなった。それに改めてシャルルと話すことも思いつかない。

「ありがとう。でも大丈夫よ、ジル。
シャルルと話すこともないし、スイスまで電話をするのも気が引けるからやめておくわ。明後日には戻るんでしょ?」

「そうですか。では戻りましょうか。
夕食の準備も出来てますよ。今朝からほとんど何も食べていないと聞きました。調子が良くないですか?」

昨夜は魘されて寝付きが悪かった事と、ケーキの食べ過ぎのせいよと私は笑って言った。外気にあたって気分も良くなったから平気だよとジルには告げた。実際はそこまで元気はない。夕食もさっぱりと済ませたいと思いつつダイニングへと向かった。

シャルルが留守の時は1人で夕食をする事が多かった。ジルが時間の取れる時は一緒に食べることもある。今夜は一緒に食べてくれるみたいね。特に最近ではシャルルよりよっぽどジルといる時間の方が長いかもしれないと思うほどだった。

夕食もあまり食が進まないままだった。恋煩いの脅威にさすがの私も驚いていた。食欲が落ちる事なんて初めてかもしれないわ。スープとサラダしか手をつけなかった私を気遣ってコックがお粥を作ってくれたの。あっさりとしたダシだけで味付けをしたそれは私の弱った体に優しかった。

昨日みたいに魘されて起こされるのもイヤだったからメイドに頼んで睡眠導入剤を用意して欲しいと頼んでおいた。
最後にホットミルクティーを飲むと体がポカポカしてきて、あとは薬を飲めばぐっすりと眠れそうだわ。
ジルとの夕食も終わると薬を催促してみた。

「頼んであった導入剤はまだかしら?」

私がメイドに尋ねるとジルが見てきますねと言って素早くダイニングを後にした。程なくしてジルは白い紙包みとお水を私に差し出した。

「はい、マリナさん。これで今夜はぐっすり眠れますよ。」

ジルはいつでも先回りして私のして欲しい事を汲んでくれてとても心強い存在だった。特にシャルルが留守の時は頼れるのはジルだけだもの。パリには友達がいない私にとっての唯一の友達だった。
彼女にはずっと側にいてもらいたいと思っている。でもそんな事を口にしたらジルはきっと困るわよね。彼女だって仕事はあるんだし、私のお守りばかりできないのは分かっている。

私は睡眠導入剤のおかげで朝までぐっすりと眠ることができた。
















「今朝から食欲もなく、夜はメイドに睡眠導入剤を頼んでました。昨夜は魘された様子です。もちろん、支持通り対応いたしました。それでは失礼します…」








つづく