きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

Reve de continuation 16 *追記あり

バラの花びらを両手でそっと掬う。
こんなのはマンガの世界だけだと思ってたけどいるのね、こういうお風呂に入る人って。シャルルならきっと絵になるんだろうけど。
今日はいつものジャグジーのお風呂じゃなくてバラのお風呂だった。無数に散りばめられた花びらの香りが鼻孔をくすぐる。
どうもこういうのは慣れないわと思いながら口元までぶくぶくっと潜る。
シャルルにシャワーを浴びておいでと言われて来たのはいいけど、この後のことを考えるとなかなか上がれずにいた。
じわりとにじみ始めた汗が顎を伝い浴槽へぽつりと落ちた。
だめだわ、いいかげん熱くて限界だわ。覚悟を決めて、浴室から出るといつもの着替えが置いてある棚からバスローブを手に取る。できればバスタオルの方が日本人のあたしには慣れてて使いやすいんだけど、アルディ家にそんなものは、まずなさそうよね。
バスローブを着て寝室に戻ると、グラスを片手に窓の外をじっと眺めているシャルルがいた。
僅かに濡れたプラチナブロンドは太陽の光を浴びてキラキラと輝き、ざっくりと羽織ったバスローブの胸元からは鍛え上げられた胸元をのぞかせていた。
そんなシャルルの色気にあてられ見惚れていると、あたしに気づいたシャルルが振り返る。

「あんまりにも遅いから逆上せてるのかと様子を見に行こうかと思っていたところだよ」

「あ、うん。お風呂が素敵すぎてつい長湯しちゃったわ」

シャルルはベット脇にある小さなテーブルに近づき、ボトルに手を伸ばす。

「マリナも飲むかい?」

そう言ってソファに座り、あたしにグラスを差し出す。

「うん」

あたしはシャルルの隣にそそっと座り、グラスを受け取る。
金色の液体が注がれ、きめの細かい泡が立ち上がる。

「永遠の愛に……乾杯」

重なり合うグラスの音色は二人の愛の始まりを知らせる鐘のように辺りに響いた。
グラスを傾けて一気にそれを飲み干し、ぷはぁーとあたしが言うと隣でくすっとシャルルが笑う。

「高級シャンパンもマリナの前ではただの水だな」

「だって美味しいんだもん」

あたしがぷっと膨れっ面をすると「ほら」と言って再びシャンパンを注いでくれた。

「君にはどんな物が良いのかと悩んだ甲斐があったってことか」

シャルルは自嘲的に笑った。

「君のためにシャンパンを選んでいる時間、それに似合うグラスを選ぶ時間は何より幸せな時だった」

その言葉にはあたしへの愛がいっぱい詰まっていた。こんな風に言ってくれるシャルルを二度と悲しませるようなことはしないとあたしは心に誓った。
シャルルと幸せになりたい。遠回りしてやっとここにたどり着いた。あたしはやっぱりシャルルが好き。そう確信した。
その時、ふと思ったの。
家賃の支払いのことがなかったらあたしは今も自分の本当の気持ちに気づかないまま、和矢と一緒にいたんだろうか。
ううん、でもそれはない。
いつか自分の間違いに気づいてきっと後悔していたはずだわ。
今思えば、何年も前に買ったガスコンロの調子が悪くて何度やってもなかなか火が点かないような生活を送っているのに、あれだけ家を空けていてガスも水道も電気も、そして家賃も滞りなく払えているはずがなかったのよ。
それも全部、シャルルが入れてくれていたあの凄いお金のおかげだったんだわ。

「ねぇシャルル、そういえばなんであたしの口座に凄いお金を入れたの?あれを見た時、腰が抜けるかと思ったわよ。でもそのおかげであたしは今、ここにいることができるのかもしれないわ」

あたしがこれまでの話をするとシャルルは真剣な顔をした。

「あぁ、あれは……」




つづく


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みなさん、こんにちは😊
今年も残りわずかですね。そんなお忙しい中、お越し下さってありがとうございます。
年内の更新はこれが最後になりそうです。そして次回は大人の方向けになりますのでお気に入り登録者様限定記事になります。
苦手な方は飛ばしてお読みください。
ただし、シャルルのこの後の言葉が気になる方は、次回の前半だけお読み下さい。後半からRの流れになりますので、そこからはご退室下さいm(_ _)m

ではみなさん、良いお年を(o^^o)


~追記~

やはり誤って読んでしまう方がいると申し訳ないので、17話は全公開で普通にし、18話を大人の表現ありの限定公開とします。