きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 7

その日の夜はティナを1人に出来なくて私はシャルルの部屋には行かずに自分の部屋で寝ようと思っていた。
薬を飲ませてティナを寝かせた頃シャルルが仕事から戻り私の部屋へ様子を見に来てくれた。

「シャルル、おかえり!
ねえ聞いてよ、獣医さんが昼間来てティナを診てくれたの。そしたら気管…きょ、だか…きゃ何とかって言われたの。親とかもそうだったか?って聞かれたわ。この子大丈夫かな?」



シャルルが上着を脱ぎソファの背に置くまでの間、待ちきれずに私はシャルルの周りをチョロチョロしながらまくし立てるように話した。
そんな私を宥めるように頭をポンポンと軽く叩くとシャルルは逞しい胸の中に私を抱き寄せた。

「まずは、ただいまのキスから…。」

私を仰向かせるように顎を掴み頬を傾けそっと唇を重ねた。軽く触れるだけのいつものキス。
唇をそっと離すと本題に入った。


「獣医が言ってたのは気管虚脱だろう?
気管軟骨が歪むなどして扁平に潰される事で空気の流れに障害が生じる事だよ。要因は主に遺伝によるものと考えられているんだ。それで獣医に気管拡張剤や鎮咳剤を処方されたってとこかな?」

私が言いたかった事を全部分かっちゃうなんてさすがシャルルだわ。

「その通りよ。錠剤を貰って飲ませたら咳も止んでよく寝ているわ。
でもこの病気って治らないの?これから先もずっと薬を飲ませないとダメ?」

シャルルは首を振ると私をソファに座らせて自分も隣に座った。

「いや、ほとんどが軽度の物だから対処療法だ。発作が起きたら薬を飲ませる。それか手術で扁平になった部分をチューブで補強する手もある。
獣医に近いうちに連れて来るように言われた?」

私はそうなのよって答えた。
シャルルはまるであの場で見ていたかのようだった。

「レントゲンを撮るんだろう。ティナの調子が良くなったら行った方がいい。」

やっぱりシャルルがいてくれると安心する。こうして説明してもらえば不安も少しは減るような気がするもの。


この夜、シャルルは初めて私の部屋に泊まっていった。元は全部シャルルのお家だけどね。
ティナは朝までぐっすりと眠っていた。







あの日から数日が経ちティナはすっかり咳も出なくなったから今日は動物病院へ連れて行くことにした。
ちょうどシャルルの仕事の都合もついたから付いてきてもらうことにした。
正面玄関で車に乗り込む時に私は携帯を忘れたことに気付いた。

「シャルル、ちょっと待ってて。携帯忘れて来ちゃった。取ってくるわ。」

呆れるシャルルを横目に私は猛ダッシュして部屋に戻って引き出しの中から携帯を取り出しバックに詰め込んだ。
出掛ける時は何かしら忘れ物をする自分にうんざりしながら急いで玄関に向かった。





ーー引き出しからは携帯と共にヒラヒラと小さな紙が宙を舞い、毛足の長い絨毯の上へと静かに舞い降りていたーー






ー小さな紙に気付き伸ばされた手ー






つづく

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みなさん、こんばんは(^o^)

勤務時間の変更に伴って再び夜の更新に変更してます。まぁ何時でも構わないよ~ですかね(笑)
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