きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

心をこめて19

メッセージカードの件は忘れる事にして、帰ってきたらどうにかなるわよ。きっと…。
シャルルが戻るのは夕方って聞いていたからそれまでに私は中庭でスケッチをしたり部屋でデッサンしたりして過ごすことにしたの。
ランチも忘れそうになるほど夢中で描いていた。でも忘れていないわよ!
ちゃんと時間には食堂へ行ったわ。

メイドの時は忙しくて絵を描く時間もなかったけど、こうして元の生活に戻ると私にとって描くという事がとても大切なのが分かった。



夕方になると邸内が慌しくなってシャルルの帰宅が近い事が伝わってくる。
しばらくすると2人のメイド達が部屋に来て私はシャワーをするように促された。

チェリーピンクの胸元にフリルの付いたコットンシフォンのワンピースが用意されていて着替え終わるとお化粧をされた。

「まもなくご当主様のお戻りですのでマリナ様、お出迎えに参りましょう。」

正面玄関へと向かうとすでに大勢の使用人達が整列して当主の帰りを待っていた。こんなに本邸の中には働いてる人がいるのね…。だって門の方までズラ~っと並んでるのよ!
私が呟くと隣で待つ執事さんに、この者たち以外にもまだ居るんですよ。ディナーの準備やバスの準備などがあるので免除されていますが50名はいますね。
アルディ家の桁外れな財力に驚く私に、通いの者も含めると100名はまだおります。と付け加えた。
ここまで来ると驚きも通り越してえらい世界に踏み込んでしまったと頭を抱えたくなった。だってこのズラ~っと並んでる人達の1番先頭に私が立っているのよ!隣に執事さん、私の反対側にジル。
私がキョロキョロしているとリムジンが此方へ走って来るのが見えた。
私たちの前に止まると長い足で颯爽と降り立つシャルルが私に歩み寄る。
「ただいまマリナ。」「おかえりシャルル。」軽く口付けすると優しく抱き寄せた。
…ってちょっとシャルル、みんなが見てるわよ!!と言おうとした途端、私を開放すると肩を抱きながら

「さぁ、ディナーをしながら話をしよう。久しぶりに君と過ごせると思うと嬉しいよ。」
そう言ってジルや執事さんのおかえりなさいませ。には反対の手をかざして応えるとお屋敷の中へと私をエスコートして行く。
シャルルの私室へ入り扉をパタンと閉じると片手で腰を抱き寄せ、肩を抱いていた手は私の後頭部を包み込み、私を自分の方へ向かせた。
「会いたかった…」そう呟くと唇を重ねる。触れるだけのキス。そして唇を塞ぎ、奪うようなキス。離れて過ごした時間を埋めるかのようにシャルルの愛を注がれた。私は息苦しさとキスの甘さで立っていられなくなってシャルルにしがみついた。唇が離れて私は呼吸を整えると、

「私も凄く会いたかったわ。」
と逞しい胸に耳をあてながらシャルルの背中に腕を回して言った。

私の顎を掴み上向かせるとキスをひとつ落とす。

「シャワーをしてくるから少し待っておいで。」と言ってバスルームへと消えて行く後ろ姿を見ながら急に恥ずかしくなってきた。
ここはシャルルの私室。隣には寝室もありキスをした後にシャワーへ行ってしまい待っててと言われた…帰宅して早々に??でもまさかねぇ。いや、日本人の私と違ってシャルルは愛の国フランスの人。そう考えるとドキドキしてきた。
そこへバスローブ姿のシャルルが現れてもう私の心臓はドッキンドッキン!

「君はシャワーをしたみたいだし、そのままでいいね。」とシャルルが言うもんだから私は慌ててしゃべった。

「まだ明るいし、ディナーもまだだし、あの、その、まだ早いんじゃないかなーって思うんだけど…」
ともごもごと言うとシャルルはクスッと笑った。

「マリナちゃん嬉しいよ。君はオレに抱かれたいと思ってくれてるんだね。今すぐにでも叶えてあげたいんだが、ディナーの時間のようだ。執事が呼びに来てるが遠慮してノックが小さい。君を抱きしめた時にソープの香りがしたからシャワーをしたって分かったんだ。だからこのまま食堂へ行けるかと尋ねたつもりだったが…。」

やだっ…恥ずかしいっ!真っ赤になる私を見てシャルルは笑うと着替えを取りにクローゼットへ行ってしまった…。





つづく