きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

心をこめて21

ジルから受け取ったシャルルへの贈り物のそれ…。

やっと渡す事ができる。
面と向かって渡すのは恥ずかしかったからシャルルが寝ている間にそっと枕元に置いてこようと思って、東の空が明るくなる頃、シャルルの寝室に忍び込んだ。
忍び込んだと言っても普通に入っただけなんだけどね。
ここは限られた人間しか入れないセキュリティ指定の部屋のためにシャルルとジル、執事さんそれに私しか入る事はできない。万が一、寝込みを襲われたら大変だものね。
厚いカーテンで覆われた寝室は、朝が訪れようとしている事を隠していた。

規則正しい寝息が聞こえてる。そーっと近づき白金の髪の横へ置く。瞼は閉じられ天使が羽根を休めているかのようにシャルルは美しかった。

それは買ってきた物ではなかった。なのでラッピングも不器用だけど自分でやった。薄いピンク色のラッピングシートには黄、紫、桃、緑、様々な薔薇がプリントされていた。可憐なそのシートを真っ白なリボンで結んだ。

これまでシャルルに数え切れない贈り物と愛をもらってばかりいた。私からも何か形に残る物を渡したかった。
シャルルの事を思って一生懸命に作りあげたの。

ベットから離れようと振り返った時にパッと腕を掴まれて、私は驚いてシャルルを殴りそうになってしまったわ。ホラー映画もビックリのシチュエーションに心臓がバクバクしてしまった。

「マリナ、何をしている?」

シャルルは寝起きでボーッとしているのか状況を把握できてないみたい。私がまるで夜這いにきたみたいじゃない。ち、違うのよ!

「あはは…。あんたの寝顔を見ていたのよ。あはは…」

誤魔化して言ったけど、シャルルがそんな嘘に騙されるわけないわよね…。
自分の傍らに置かれてる包みに気付くと、ガバッと起き上がり包みを手にすると、私を食い入るように見つめる。

「マリナ、これは…オレに……?」

目覚めたばかりのシャルルは言葉を失っていた。手の中にあるその包みをじっと見つめている。
そして次の瞬間、シャルルの輝くような笑顔がパッと咲いてねだるような眼差しを私に向けると
「開けてもいい?」
まるで子供のようなシャルルに私は、いいわよ。と答えた。

リボンをそっと解き、壊れ物を触るような手つきで包みを広げていく。
それを見つめてシャルルの動きが止まった…。まるで時が止まってしまったかのように。それを長い間じっと見つめていた。表紙に手を充てる。シャルルはそこから温もりを注ぎ込まれてるかのような仕草に私はドキリとした。

表紙をめくり次々とめくっていく…。
とても短いものだけどシャルルはゆっくり、1頁ずつ自分の中に刻み込むようにしてめくっていく。
私はシャルルに絵本を贈ったのだ。

表紙には見つめ合う私とシャルル。
ページをめくると、豪華な天蓋付きの大きなベビーベットに並んで眠っている双子ちゃん。
そう、シャルルとミシェル。これこそ天使ね。赤ちゃんって指を近づけるとギューって握るでしょ。あれ。ミシェルがシャルルの指を握ってる様子を想像したの。二人は最初から一緒だったんだと…。

次の頁にはママンを挟んで少年になった双子が両側に立って同時に内緒話をママンにしている風景。二人ともどちらの方がママンは好きか聞いているの。ママンはどちらも愛してるわ。と言ってる場面。

最後の頁には、私を挟むように立っている大人になった双子たち…。
ママンが空から私たちを優しくそっと見下ろしているの。その背中には輝く様な真っ白な天使の羽。ママンに見守られて…。


最後の頁には、
ーーシャルル・ドゥ・アルディを永遠に愛しますーーーと綴った。

最後まで見終えると腕を引き寄せられ、私は強く抱きしめられていた。

「マリナ、マリナ…。君はどれだけオレを夢中にさせれば気が済むんだい?
あぁ、マリナ、こんなに素敵な贈り物は今まで貰ったことがないよ。このために働きに行ってくれてたんだね。」

えっ?シャルル、知っていたの?
驚く私に、ふわっと笑いながら教えてくれたの。学会に出かけて間もなく、ブレスレットから反応があってジルに問い質したこと。私を見守って欲しいとジルに頼まれた事など。別邸に通うに時にはSPを付けていた事。まさかアニーがSPだったなんて思いもしなかったわ。
1日中アニーが側に居たことも、ミシェルの所に泊まろうとして大反対されたのも納得できた。
見張り役だったわけね…。

だけど何があるのかはジルは言わないでくれていたんだって。シャルルは気にしながらも私を信じて楽しみに待つ事にしたみたい。

「今日のスケジュールは全てキャンセルにする。今日は君を放さないよ。
こんなにステキな贈り物をもらったんだからね。」

私を抱き寄せ頬を傾けると私の唇に自分の唇を重ねた。

「前に言っただろ?
何もかも、君にやる。この世界中でオレが手にできる全部を、君に。
愛してる、オレのマリナ。」



つづく

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次回はR作品のため、限定公開とさせていただきます。
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次回【心をこめて22】を飛ばしてもお読み頂いても問題はないので苦手な方、未成年の方は【23】へお進み下さい。


いつもお読み頂いて本当にありがとうございます(*^_^*)あと少しで完結いたします。